「まだ通院できるから」は、本当に大丈夫? 訪問診療を始めるタイミング
「訪問診療」と聞くと、どのような医療を思い浮かべるでしょうか。
寝たきりになった人が利用するもの。
人生の最期が近づいてから利用するもの。
病院へまったく行けなくなった人のためのもの。
そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。
訪問診療は、自力での通院が難しくなった患者さんのもとへ、医師が定期的に伺って診療を行う医療です。ご自宅だけでなく、高齢者施設など、患者さんが生活している場所へ伺います。
ただ、私たちが日々患者さんを診ていて感じるのは、訪問診療を始めるタイミングは、皆さんが思っているよりも少し早くてもいいのではないか、ということです。
寝たきりになった人が利用するもの。
人生の最期が近づいてから利用するもの。
病院へまったく行けなくなった人のためのもの。
そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。
訪問診療は、自力での通院が難しくなった患者さんのもとへ、医師が定期的に伺って診療を行う医療です。ご自宅だけでなく、高齢者施設など、患者さんが生活している場所へ伺います。
ただ、私たちが日々患者さんを診ていて感じるのは、訪問診療を始めるタイミングは、皆さんが思っているよりも少し早くてもいいのではないか、ということです。
「通院できる」を分解して考えてみる
「まだ病院には行けています」
そう聞くと、訪問診療はまだ必要ないように感じます。
しかし、一言で「通院」といっても、実際にはたくさんの行動が含まれています。
まず、自宅から病院まで移動する。
病院に着いたら受付をして、順番を待つ。
診察室では、自分の体調や最近起きた変化を医師に伝える。そして医師から説明を受け、その内容を理解する。
診察が終われば会計をして、薬局へ行き、薬を受け取る。
自宅へ戻った後は、処方された薬を間違えずに飲み、次回の予約日に再び病院へ向かいます。
私たちは、この一連の流れすべてを含めて「通院」と考えています。
歩くことができるかどうかだけではありません。
例えば、自分一人では病院へ行けず、毎回家族が仕事を休んで付き添っている。
認知症などによって、診察室で自分の症状をうまく伝えることが難しい。
医師から説明を受けても、家に帰る頃には内容が分からなくなってしまう。
薬の準備や管理が一人では難しくなっている。
こうした状況も、「通院が難しくなっている」サインの一つです。
そう聞くと、訪問診療はまだ必要ないように感じます。
しかし、一言で「通院」といっても、実際にはたくさんの行動が含まれています。
まず、自宅から病院まで移動する。
病院に着いたら受付をして、順番を待つ。
診察室では、自分の体調や最近起きた変化を医師に伝える。そして医師から説明を受け、その内容を理解する。
診察が終われば会計をして、薬局へ行き、薬を受け取る。
自宅へ戻った後は、処方された薬を間違えずに飲み、次回の予約日に再び病院へ向かいます。
私たちは、この一連の流れすべてを含めて「通院」と考えています。
歩くことができるかどうかだけではありません。
例えば、自分一人では病院へ行けず、毎回家族が仕事を休んで付き添っている。
認知症などによって、診察室で自分の症状をうまく伝えることが難しい。
医師から説明を受けても、家に帰る頃には内容が分からなくなってしまう。
薬の準備や管理が一人では難しくなっている。
こうした状況も、「通院が難しくなっている」サインの一つです。
訪問診療は「最後の手段」ではありません
実際には、何度か入院を繰り返し、以前のような生活が難しくなってから訪問診療につながるケースも少なくありません。
もちろん、その段階からでも私たちにできることはたくさんあります。
ただ、もう少し早く関わることができていたら、入院する回数を減らせたかもしれない。夜間に体調が悪くなり、ご家族だけで困ってしまうことを減らせたかもしれない。そして、もう少し長く自宅での生活を続けられたかもしれない。
そう感じることがあります。
「もう病院には行けないから、訪問診療にする」のではなく、
「最近、病院へ行くのが少し大変になってきた」
そんな段階で、一度訪問診療について考えてみてもいいのではないでしょうか。
もちろん、その段階からでも私たちにできることはたくさんあります。
ただ、もう少し早く関わることができていたら、入院する回数を減らせたかもしれない。夜間に体調が悪くなり、ご家族だけで困ってしまうことを減らせたかもしれない。そして、もう少し長く自宅での生活を続けられたかもしれない。
そう感じることがあります。
「もう病院には行けないから、訪問診療にする」のではなく、
「最近、病院へ行くのが少し大変になってきた」
そんな段階で、一度訪問診療について考えてみてもいいのではないでしょうか。
病院へ行かなくなると、見えてくるものもある
訪問診療には、通院の負担が減ること以外にも大きな特徴があります。
それは、私たち医療者が患者さんの「生活の場」に入ることです。
病院の診察室では、血圧や検査結果、症状について話すことが中心になります。
一方、ご自宅に伺うと、それ以外のものが自然と目に入ってきます。
家の中に段差があれば、「ここで転ばないように気をつけましょう」と話すことができます。
置いてある薬を見れば、「薬がうまく飲めていないのかもしれない」と気づくこともあります。
そして診察の合間には、
「最近どうですか?」
「ご飯は食べられていますか?」
「この間、お孫さんが来たんですよ」
そんな何気ない会話も生まれます。
一見、病気とは関係がないように見える話の中に、その人の体調や暮らしを知るための大切な情報が隠れていることがあります。
訪問診療は、病気だけを見る医療ではありません。
その人がどんな家で、誰と、どのように暮らしているのか。
そこまで見ながら医療を考えられることは、訪問診療の大きな特徴だと思っています。
それは、私たち医療者が患者さんの「生活の場」に入ることです。
病院の診察室では、血圧や検査結果、症状について話すことが中心になります。
一方、ご自宅に伺うと、それ以外のものが自然と目に入ってきます。
家の中に段差があれば、「ここで転ばないように気をつけましょう」と話すことができます。
置いてある薬を見れば、「薬がうまく飲めていないのかもしれない」と気づくこともあります。
そして診察の合間には、
「最近どうですか?」
「ご飯は食べられていますか?」
「この間、お孫さんが来たんですよ」
そんな何気ない会話も生まれます。
一見、病気とは関係がないように見える話の中に、その人の体調や暮らしを知るための大切な情報が隠れていることがあります。
訪問診療は、病気だけを見る医療ではありません。
その人がどんな家で、誰と、どのように暮らしているのか。
そこまで見ながら医療を考えられることは、訪問診療の大きな特徴だと思っています。
家族にとっても「通院」は大きな負担になる
通院が大変なのは、患者さん本人だけとは限りません。
「大学病院へ行くだけで3時間、4時間かかる」
「付き添うために、家族が一日仕事を休んでいる」
「病院へ行った後は疲れてしまい、2、3日は調子が戻らない」
患者さんから、そんな話を聞くことがあります。
診察そのものは短い時間でも、その前後には移動や待ち時間があります。
高齢になったり、体力が低下したりすると、その負担は決して小さなものではありません。
訪問診療では、医療者の方から患者さんの生活の場へ伺います。
「病院へ行くために生活を合わせる」のではなく、「生活している場所に医療がやってくる」。
この違いは、患者さん本人だけでなく、支えるご家族にとっても大きなものです。
「大学病院へ行くだけで3時間、4時間かかる」
「付き添うために、家族が一日仕事を休んでいる」
「病院へ行った後は疲れてしまい、2、3日は調子が戻らない」
患者さんから、そんな話を聞くことがあります。
診察そのものは短い時間でも、その前後には移動や待ち時間があります。
高齢になったり、体力が低下したりすると、その負担は決して小さなものではありません。
訪問診療では、医療者の方から患者さんの生活の場へ伺います。
「病院へ行くために生活を合わせる」のではなく、「生活している場所に医療がやってくる」。
この違いは、患者さん本人だけでなく、支えるご家族にとっても大きなものです。
「訪問診療を使えるのかな?」と思った時が、相談のタイミング
訪問診療は、高齢者だけのものでも、寝たきりの方だけのものでもありません。
病気や障害などによって通院が難しい方であれば、若い方や子どもが対象になる場合もあります。
一方で、「自分や家族が対象になるのか分からない」という方も多いと思います。
そんな時は、最初から「訪問診療を始める」と決める必要はありません。
まずは、
「最近、通院が大変になってきた」
「家族の付き添いがないと病院へ行けない」
「薬の管理が難しくなってきた」
「この状態でも訪問診療を利用できるのだろうか」
と相談してみてください。
訪問診療を始めるかどうかは、その後に一緒に考えればいいのです。
「まだ通院できているから大丈夫」ではなく、その通院が本人や家族にとってどれくらいの負担になっているのか。
そこに目を向けることが、これからの暮らしを考える一つのきっかけになるかもしれません。
病気や障害などによって通院が難しい方であれば、若い方や子どもが対象になる場合もあります。
一方で、「自分や家族が対象になるのか分からない」という方も多いと思います。
そんな時は、最初から「訪問診療を始める」と決める必要はありません。
まずは、
「最近、通院が大変になってきた」
「家族の付き添いがないと病院へ行けない」
「薬の管理が難しくなってきた」
「この状態でも訪問診療を利用できるのだろうか」
と相談してみてください。
訪問診療を始めるかどうかは、その後に一緒に考えればいいのです。
「まだ通院できているから大丈夫」ではなく、その通院が本人や家族にとってどれくらいの負担になっているのか。
そこに目を向けることが、これからの暮らしを考える一つのきっかけになるかもしれません。

