病院を離れても、医師として積み上げてきたものはなくならない
「在宅医療に進んだら、これまで身につけてきた専門性を活かせなくなるのではないか」
病院で長く経験を積んできた医師ほど、そんなイメージを持つことがあるかもしれません。
今回、静岡ホームクリニックにて在宅医療の現場を経験した後、富士宮で開業した相川医師との対談で語られたのは、むしろその逆の話でした。
「病院で培った専門性は、在宅医療でも大きな力になる」
そして在宅医療で求められるのは、これまでのキャリアを一度リセットして新しい医師になることではなく、自分が持っている専門性に「暮らしを見る視点」を加えていくことなのかもしれません。
今回のコラムは、いつもと少し違った視点から展開していきます。
病院で長く経験を積んできた医師ほど、そんなイメージを持つことがあるかもしれません。
今回、静岡ホームクリニックにて在宅医療の現場を経験した後、富士宮で開業した相川医師との対談で語られたのは、むしろその逆の話でした。
「病院で培った専門性は、在宅医療でも大きな力になる」
そして在宅医療で求められるのは、これまでのキャリアを一度リセットして新しい医師になることではなく、自分が持っている専門性に「暮らしを見る視点」を加えていくことなのかもしれません。
今回のコラムは、いつもと少し違った視点から展開していきます。
「在宅だから専門性を捨てる」ではない
病院では、循環器内科、呼吸器内科、神経内科、リウマチ科、泌尿器科、精神科など、それぞれの専門領域を持つ医師が診療を行っています。
一方、在宅医療というと、「幅広く何でも診る医療」というイメージが強いかもしれません。
もちろん、患者さんのさまざまな疾患に対応する力は必要です。
しかし、在宅医療の現場でも医療の高度化は進み、専門的な知識や経験が必要になる場面は少なくありません。
循環器を専門としてきた医師だからこそ気づけること。
呼吸器を診てきた医師だからこそできる判断。
病院で何年も積み重ねてきた経験は、診療する場所が「病院」から「自宅」に変わったからといって、なくなるものではありません。
むしろ、それぞれの医師が持つ専門性を持ち寄ることで、在宅医療でできることはさらに広がっていきます。
一方、在宅医療というと、「幅広く何でも診る医療」というイメージが強いかもしれません。
もちろん、患者さんのさまざまな疾患に対応する力は必要です。
しかし、在宅医療の現場でも医療の高度化は進み、専門的な知識や経験が必要になる場面は少なくありません。
循環器を専門としてきた医師だからこそ気づけること。
呼吸器を診てきた医師だからこそできる判断。
病院で何年も積み重ねてきた経験は、診療する場所が「病院」から「自宅」に変わったからといって、なくなるものではありません。
むしろ、それぞれの医師が持つ専門性を持ち寄ることで、在宅医療でできることはさらに広がっていきます。
病院で学んだ医療を、「家でどう実現するか」
ただし、病院と在宅では大きく違うことがあります。
病院には検査機器があり、必要な整備があり、さまざまな診療科の医師や医療職がいます。自宅には、それがありません。
限られた設備と環境のなかで、患者さんに必要な医療をどう実現するのか。
ここに、在宅医療ならではの難しさと面白さがあります。
病院で身につけた医療をそのまま持ってくるのではなく、「この患者さんの生活のなかでは、どうすれば実現できるだろう」と考える。
その試行錯誤が、医師としての新しい経験になっていきます。
対談の中でも、在宅医療を経験したことで「在宅って面白い」と感じられたこと、そして病院で培ったものを在宅へ展開していくことが、新しいキャリアにつながったという話がありました。
在宅医療への転身は、これまでのキャリアを捨てることではない。
これまでの経験を、別の場所で活かすことなのです。
病院には検査機器があり、必要な整備があり、さまざまな診療科の医師や医療職がいます。自宅には、それがありません。
限られた設備と環境のなかで、患者さんに必要な医療をどう実現するのか。
ここに、在宅医療ならではの難しさと面白さがあります。
病院で身につけた医療をそのまま持ってくるのではなく、「この患者さんの生活のなかでは、どうすれば実現できるだろう」と考える。
その試行錯誤が、医師としての新しい経験になっていきます。
対談の中でも、在宅医療を経験したことで「在宅って面白い」と感じられたこと、そして病院で培ったものを在宅へ展開していくことが、新しいキャリアにつながったという話がありました。
在宅医療への転身は、これまでのキャリアを捨てることではない。
これまでの経験を、別の場所で活かすことなのです。
カルテの向こうではなく、「その人」を見る
そしてもう一つ、在宅医療で身につけていく大切な視点があります。それが「暮らしを見る」ということです。
例えば、薬の処方としては医学的に正しくても、その患者さんの生活のなかで本当に続けられるのか。
病気の状態だけを見れば問題がなくても、本人や家族が困っていることはないか。
在宅では、患者さんが普段過ごしている場所に医療者自身が入っていきます。そこで目にするのは、検査結果やカルテだけでは分からない、その人の日常です。
何を食べ、どんな場所で過ごし、誰と暮らし、何を大切にしているのか。
病気を見ることと、その人を見ること。
その両方がそろって、初めて「この人にとって必要な医療」が見えてきます。
例えば、薬の処方としては医学的に正しくても、その患者さんの生活のなかで本当に続けられるのか。
病気の状態だけを見れば問題がなくても、本人や家族が困っていることはないか。
在宅では、患者さんが普段過ごしている場所に医療者自身が入っていきます。そこで目にするのは、検査結果やカルテだけでは分からない、その人の日常です。
何を食べ、どんな場所で過ごし、誰と暮らし、何を大切にしているのか。
病気を見ることと、その人を見ること。
その両方がそろって、初めて「この人にとって必要な医療」が見えてきます。
「気になる」が、医療の力になる
対談のなかで印象的だったのが、在宅医療に向いている医師についての話です。
そこで出てきたのは、特定の診療科や技術ではなく、「患者さんのことが気になるかどうか」という、とてもシンプルな感覚でした。
患者さんの状態が少し気になる。
昨日と様子が違うのが気になる。
ご家族は大丈夫だろうかと気になる。
だから、もう一度様子を確認したくなる。
こうした感覚は、教科書を読んだだけで身につくものではありません。
一方で、決して在宅医療だけに必要なものでもありません。
病院で働いていても、患者さんの背景や家族のことまで気にかける医師はいます。
つまり在宅医療で大切なのは、「特別な在宅医療向けの医師になること」ではなく、もともと医師として持っている患者さんへの関心を、より暮らしの近くまで広げていくことなのかもしれません。
そこで出てきたのは、特定の診療科や技術ではなく、「患者さんのことが気になるかどうか」という、とてもシンプルな感覚でした。
患者さんの状態が少し気になる。
昨日と様子が違うのが気になる。
ご家族は大丈夫だろうかと気になる。
だから、もう一度様子を確認したくなる。
こうした感覚は、教科書を読んだだけで身につくものではありません。
一方で、決して在宅医療だけに必要なものでもありません。
病院で働いていても、患者さんの背景や家族のことまで気にかける医師はいます。
つまり在宅医療で大切なのは、「特別な在宅医療向けの医師になること」ではなく、もともと医師として持っている患者さんへの関心を、より暮らしの近くまで広げていくことなのかもしれません。
在宅医療は、「キャリアダウン」ではない
病院から在宅医療へ移ることに対して、「第一線から離れる」「キャリアダウンする」といった印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、実際の在宅医療はそう単純ではありません。
設備が整った病院とは異なる環境で、自分の専門性を活かしながら、患者さんの生活や家族、多職種との連携まで含めて医療を組み立てていく。
そこには、病院とは違う難しさがあります。そして、病院では得られなかった経験があります。
在宅医療を経験することは、医師として積み上げてきたキャリアを手放すことではなく、そのキャリアに新しい視点を加えること。
将来開業を考えている医師にとっても、働き方を見直したい医師にとっても、これまでとは違う医療を経験してみたい医師にとっても、一つの選択肢になります。
設備が整った病院とは異なる環境で、自分の専門性を活かしながら、患者さんの生活や家族、多職種との連携まで含めて医療を組み立てていく。
そこには、病院とは違う難しさがあります。そして、病院では得られなかった経験があります。
在宅医療を経験することは、医師として積み上げてきたキャリアを手放すことではなく、そのキャリアに新しい視点を加えること。
将来開業を考えている医師にとっても、働き方を見直したい医師にとっても、これまでとは違う医療を経験してみたい医師にとっても、一つの選択肢になります。
「やってみないと分からない」からこそ
対談の終盤では、「やってみないと分からない」という言葉も出てきました。
在宅医療が自分に合っているのか。
自分の専門性をどう活かせるのか。
どんな働き方ができるのか。
外から見ているだけでは、なかなかイメージしにくい世界です。
だからこそ、実際に働いている医師の話を聞いたり、現場を見学したりすることが、最初の一歩になります。
在宅医療に進むことは、これまで歩いてきた道から外れることではありません。
これまで身につけてきたものを持ったまま、医師としてのフィールドをもう一つ広げてみる。
その先に、これまでとは違う「医療の面白さ」が見えてくるかもしれません。
在宅医療が自分に合っているのか。
自分の専門性をどう活かせるのか。
どんな働き方ができるのか。
外から見ているだけでは、なかなかイメージしにくい世界です。
だからこそ、実際に働いている医師の話を聞いたり、現場を見学したりすることが、最初の一歩になります。
在宅医療に進むことは、これまで歩いてきた道から外れることではありません。
これまで身につけてきたものを持ったまま、医師としてのフィールドをもう一つ広げてみる。
その先に、これまでとは違う「医療の面白さ」が見えてくるかもしれません。

